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2016.07.28 / Category : Blog
沖縄で「沖縄移民史」を語ること

先日、沖縄県立公文書館にて、「移動する沖縄女性-ハワイ、フィリピンの女性移民」というタイトルで発表させて頂きました。この発表は、今年出版された『沖縄県史 各論編8 女性史』に寄稿した論文をもとにしたもので、戦前のハワイとフィリピンという二つの移民先での生活を比較検討しながら、沖縄女性の移民経験についてお話ししました。

公文書館の連続歴史講座「沖縄女性の近現代」の最終回でもあった発表には、一般の方々が多く参加して下さいました。講演後の質疑応答は、(自然と)当日7月23日の琉球新報の一面をにぎわせていた東村高江の米軍ヘリパッド建設に対する私の関心・立場へと向かっていきました。「ヤマトンチュ」である私が、沖縄の方々に沖縄について話すこと―これについては、発表前にも考えていたことでありましたが-ここまで単刀直入に聞かれるとは予想していかなかったのも事実です。20分の質疑応答は60分くらいに感じられました。

研究者が研究について語る時、議論の一貫性や研究の客観性などに最新の注意を払います。しかし、そのようないわば「小手先」の手法は、沖縄で生き、沖縄を経験している聴衆にとって、きっと深みのない薄っぺらい歴史の描き方だったのかと思います。沖縄で沖縄の歴史の一部について語るという経験は、久しぶりに、研究者としてのポジショナリティ、当事者との向き合い方、そして歴史の紡ぎ方について大きな揺さぶりをかけられたような気がします。