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2016.09.22 / Category : 未設定
基盤研究(C)「環太平洋をめぐる商品作物のグローバル・ヒストリー:島嶼植民地の重層的支配の考察」

研究概要

本研究は、日本帝国期環太平洋地域における島嶼植民地の経験を以下の3つの点から考察する。(1)島嶼植民地で栽培された商品作物(砂糖、鳳梨、樟脳等)の栽培技術や種子の伝播とそれに関わった人々の背景を解明することにより、環太平洋地域の人・モノ・知の移動の多方向性多様性を明らかにする。
(2)以上の伝播・移動が日本帝国以外の帝国・植民地を経由してきた背景に着目し、島嶼植民地支配には複数の帝国が関わってきたことを検証する。主な研究対象地域は、商品作物栽培の実験場から一大生産地となった島嶼植民地、ハワイ、台湾、南洋群島、沖縄とする。
(3)商品作物の栽培者となった先住民移住者=被支配者)の経験に焦点をあて、帝国的支配構造のなかでどのように生き抜いていったのか(受容、協調、抵抗、逸脱等)を明らかにし、支配に対する多様な反応を浮き彫りにする。

研究メンバー

代表:飯島真里子(上智大学准教授)
研究分担者:蘭信三(上智大学教授)、森亜紀子(同志社大学、日本学術振興会PD)
研究協力者:坪田=中西美貴(上智大学、日本学術振興会特別研究員RPD)
海外研究協力者:Azuma, Eiichiro (Director of Asian American Studies, Associate Professor, University of Pennsylvania), Dusinberre, Martin (Professor, University of Zurich)

主な活動

2016年度
・国際ワークショップ『移動から問う日本帝国の領域性』の開催
2016年9月15日にJourdan Sand教授(ジョージタウン大学)とDavid Ambaras教授(ノースカロライナ州立大学)を講師として迎え、日本帝国の領域性について人・モノ・文化の移動の観点から議論を重ねた。詳しい報告に関しては以下を参照(森報告松平報告
*本ワークショップは基盤研究(A)「二〇世紀東アジアをめぐる人の移動と社会統合に関する総合的研究」(代表:蘭信三、研究課題番号:25245060)との共催。

2017年度
・上田科研との共同研究会の開催
2018年3月10日に『砂糖の帝国―日本植民地とアジア市場』(東京大学出版会、2017年)の著者平井健介先生をお招きし、日本帝国植民地台湾産の砂糖のアジア市場での展開に関す研究会を近畿大学にて開催しました。
*本研究会は基盤研究(B)「近代満洲における技術導入と社会変容:在地社会と植民社会の相互作用に着目して」(代表:上田貴子、研究課題番号:17H02010)との共催。